『JAおおいた中部事業部みつば部会』
部会長 三宮 堅司 さん
30年以上前からみつばの水耕栽培を手がける三宮さん。レタスの水耕栽培も行っている。
みつばはその名の通り、1本の茎から3枚の葉がつくのが特徴。丼や茶碗蒸しなどに添えられ、繊細な日本料理を優しい香りと色合いで引き立てる野菜として親しまれている。
大分県の出荷量は西日本一。大分市では戸次、明治、高田地区を中心に、8軒の農家が水耕栽培を手がけている。およそ6ヘクタールの面積で、年間を通して栽培・出荷するみつばは、自生のものより生育が早く、ふんわりとした香りが特徴だ。
ビニールハウスで周年栽培する水耕みつば。鍋の季節、年末年始は需要が高まる
飲食店などに業務用として、また旬を迎える春や夏の丑の日に一定の需要はあるものの、高単価のためなかなか一般家庭に浸透しにくいのが悩ましいというのは、『JAおおいた中部事業部みつば部会』部会長の三宮堅司さん。
みつばの香りと食感、色合いを実際に体感してもらうことが大切だと考え、部会では3月8日を「みつばの日」とし、市内の小学校や福祉施設に無償で提供するなどして、地元での消費や食育活動にも力を入れている。そうした活動の根底にあるのは、時代がめまぐるしく移り変わり、部会の会員が2代目、3代目と引き継がれつつある状況に、「伝えていく責任」を果たしたいという思いだ。
九州、関西など西日本を中心に出荷。有名うどんチェーン店や大手コンビニエンスストアのメニューに採用されている。
みつばは他の香り野菜に比べて香りが優しく、卵焼きや巻き寿司、鍋やスパゲティなどいろんな料理に活用しやすいのも魅力だ。さっと茹でてカニカマや小エビなどと辛子マヨネーズで和え、サンドイッチにしてもおいしいという。
ビタミンやカリウムなどの栄養価の高さに加え、さわやかな香りは神経を和らげ、リラックス効果も期待できると言われるみつば。可能性はまだまだ広がりそうだ。
ビタミンなどの栄養価だけでなく香りでリラックス効果も期待できるみつば
肥料を入れた水に根を浸して育てる水耕栽培は、他の環境よりも生育が早いのが特徴